経済学科・共通講義

公開:2005年7月6日 最終更新:2005年7月6日

絶対に賭けに勝てる方法

誰でも一度は、「賭け事に手を出してはいけない」と言われたことがあると思います。 現実に、パチンコや競馬、株や先物取引などで、有り金全部持っていかれたという話は、 自分の周りでは聞かないにしても、よく聞いているはずです。
しかし、本当に賭けごとをしても儲からないのでしょうか?
世の中には、プロのパチンコ(パチプロ)や、競馬による投資ソフトウェア。そしてなにより、 先物投資を行う会社だってあります。それらは絶対に勝てない賭けでは、成り立たない代物です。
投資理論コース第1回目の講義は、題名だけ聞いたらどこぞやのねずみ講の宣伝みたくの題になってしまいましたが、 まじめに、この事柄について講義します。

コインゲームの方程式

 ここに一枚のコインがあります。賭けをする人はまず掛け金を出し、コインをはじきます。
そして、コインの表が出れば掛け金が2倍に、裏が出れば掛け金がなくなるという単純明快な賭けをしましょう。
ちなみに回数と賭けることのできる金額は無限であるとします。
ということは、1000回やってもいいわけだし、1億円賭けてもいいわけです。
んでは、この賭けにおいて、どうすれば絶対に儲かるようになるのでしょうか?

仮に、この賭けで100円儲けようと考えます。すると賭けるべき金額は100円(50円ではありませんよ)。
それではコインを弾いてみましょう。そして表が出たら・・・おめでとうございます。100円はあなたものです。
……といいたいのですが、それでは絶対に儲かるとはいえません。
それでは裏が出てしまい、掛け金がゼロ(100円の赤字)になったらどうすればいいのでしょうか?

取られてしまった掛け金と儲けたい金額分の儲けが出るように賭ければいいのです。
というわけで、先ほど取られてしまった金額100円と儲けたい金額100円を足した金額を儲けることの掛け金、
つまり200円を賭ければいいのです。単純ですね。
これで表が出れば、今までの掛け金と儲けたい金額100円を得ることができ、
裏が出てしまったら、また今まで賭金と儲けたい金額を設けることの掛け金(400円)を再度賭ければいいのです。
このように、賭けに負けてしまったら、今までの掛け金と儲けたい金額分賭ければ、
いつか勝ったときに取り返せるという仕組みです。
ちなみに計算式に直すと、
賭ける金額=(今まで負けてきた金額+儲けたい金額)/(賭けの倍率−1)
となります。

数学的に考えてみる

少しでもその事象が起きる確率があれば、何度か繰り返しているといずれその事象が起きることは、
確率の勉強していなくても、判ることだと思います。
しかし、それが何回目に起きるのか判ったほうが、精神的にも経済的にも安心します。
そこで、賭けに勝つことのできる確率は、どのように変化していくのかを確率論から確かめていきましょう。
でも、何もここで大学程度の確率論を講義する必要はありません。それどころか中学程度の数学で説明できます。

 普通に先ほどの賭けを1回だけした場合、負ける確率は1/2、つまり50%です。
あたるかもしれないけど、もしかしたら外れるかもしれない。そんな確率ですよね。
んでは、先ほどのように負けたらまた賭けるとどうなるのでしょうか?
2回の賭けのうち、1回も勝てない確率は、(1/2)×(1/2)で1/4、つまり25%になります。
ちなみに、3回の賭けのうち1回も勝てない確率は(1/2)×(1/2)×(1/2)で12.5%となり、
回数が増えるごとに50%の乗数分、確率が減っていくことになります。
つまり、賭けの回数を増やすことにより、1度も勝てない確率が限りなくゼロに近づき、すなわち、
賭けの回数を増やすことにより1度でも勝つ確率はほぼ100%になるのです。
そのため、コインゲームのようなフィフティーフィフティーの賭けだけでなく、
わずか1%しか勝つことのできないゲームでも、回数を繰り返すことにより確率が高くなっていきます。
ちなみに計算式は、
1度でも勝つことのできる確率(%)=1−(1回の賭けで負ける確率)^(賭けの回数)×100
となります。(※1)

また、文章で書いてもなかなか理解できないので、グラフも添付しておきます。
このグラフは横軸が回数、縦軸が確率を表し、3通りの確率をグラフにしました。
こう見ると、どのような確率の場合でも、1(必ず勝つことのできる確率)に限りなく近づいていることが判ります。(※1)
確率グラフ   
(※1)1度でも勝つことのできる確率を直接求めることは大変なので、
    まず逆の確率である「1度も勝つことのできない確率」を求めることにより、
    それのもう一度逆の確率を求めて、目的の確率を出しています。
(※2)確率の勉強をしたことのあることがあるなら判ると思いますが、
    1に限りなく近づくだけで、絶対に1になることはありません。つまり、どんなに確率が高くても、
    外れる確率があるということです。

雪だるま的増幅

 ここまでの講義を聴いて、これで確実に儲けることができるといって、
今にも友達のところへ行こうとしている人がいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
確かに僕は確実に儲けることができるとは言いましたが、僕はこれに条件をつけました。
賭けることのできる金額は無限であると。
軽く聞き流した人が大半かもしれませんが、これにはちゃんとした意味があります。

あなたが不運にも5回ともコインが裏(約3%の確率ですが)と出てしまったらどうなるのでしょうか?
今まで説明してきた方法で、賭けを行っている場合を例に挙げましょう。 6回目の賭けのとき、掛け金として出さなければならない金額は、先ほどの計算式であらわせます。
この際に使用する「これまでに負けてきた金額」というのは、今までの負け分をすべて合算するので、
100円+200円+400円+800円+1600円=3100円
となります。この時点でも大きな金額ですが、これを式に代入すると、
(3100+100円)/(2-1)=3200円
と、なってしまいます。
100円の儲けのために3200円?大半の人がそう思うでしょうが、そうなるのです。
計算式は簡単に説明したのでエクセルなどを利用して計算してみてください。

また、当然のことですが、それまでの掛け金は胴元に取られているので、
先ほど簡単に計算した「今までに負けてきた金額」は、当然手元からなくなっています。
ですので、6回目の賭けに参加しようとすると、掛け金3200円だけでなく、
今まで負けてきた分の3100円の合計6300円分の資金力が必要となります。

ここまで理解していただければわかると思いますが、この方法を行おうとすると、
雪だるま式に増えていく掛け金を払えるだけの潤沢な投資資金が必要となりますし、
賭けることのできる上限が決まっている場合、その時点ですべて終了となってしまいます。
(だれだって、胴元として3100円も儲けたら、すぐにでもやめたくなりますしね。)
というわけで、ただ儲けたいからという単純な考え方でこの方法を使わないほうが無難です。

ご利用は計画的に

これまでに、コインゲームを例に挙げて説明してきましたが、
半分の確率で掛け金が倍になるといった都合の良い賭け事は、あるわけがありません。
しかしどの賭け事においても、当たる確率と、あたったときの倍率は0ではないので、
特殊な条件がない限り、なが〜い目で見れば、いつかは必ず勝つことができます。
ですので、賭博性の高い競馬や競艇、カジノのルーレットやバカラなどでも、
計画性を持てば、確実に儲けることができます。
しかし、これまで講義した中でも述べたとおり、その場合には潤沢な投機資金が必要となります。
ましてや消費者金融から融資を受けての賭け事は論外です。
(借りたときの金利と儲けることのできる利率を考えると、いかに馬鹿馬鹿しいことか)
賭け事とローンのご利用は計画的に。です。

参考文献
・特になし