経済学科 証券投資コース

公開: 最終更新:2005/1/1

株って何ぞや?

いっつもニュースで、「株式市場は〜」とか、「株安が〜」なんて言葉を聞きますが、
結局株って何なんでしょう?ここでは、まず株とはなんぞやという事を講義しましょう

株の始まりは海洋貿易

いきなり歴史のお話になりますが、場所は中世が終わった17世紀のヨーロッパ。この頃は船を使って世界中の国と貿易が始まった時代でもあります。
北欧や地中海の貿易も盛んだったのですが、それよりも魅力的だったのがアジアとの貿易。ヨーロッパでは手に入らないガラス細工や絹織物。そして香辛料なんかを輸入していました。

その中でも特に需要が高かったのがコショウ。今では普通に使われている何の変哲もない香辛料ですが、保存状態のあまりよくない肉の臭いを消すために重宝されていました。

しかし、ヨーロッパからアジアというのは、今でこそ飛行機で飛んでいけば1日で行ける範囲だけど、この頃だと当然船にての移動。しかもこの時代に地中海とインド洋を結ぶ運河があるわけがないから、当然アフリカ大陸の最南端、喜望峰を迂回してインド洋へ行くというとてつもなく長い行程。時間にして往復2年以上という現在では考えられないくらいの超長旅になります
おまけに、航海するための船やらそれに乗る船乗りなんかをそろえなければならないから、莫大なお金が必要になってきます
当然、大金持ちの商人にしかできない商売だったわけです。

そこで、みんなが少しずつ資金を出し合い、そのお金で航海に必要なものを揃え、航海が無事成功し利益が出たら、その利益を、出した資金の割合だけ分配しようという考え方ができたわけです。
これなら、少ないお金でも貿易ができるので、だれでも気楽に(…というほどでもないけど)アジア貿易ができるようになりました。
これが、株式会社の始まりだといわれています。
ちなみにこの会社こそ、世界史の授業でも出てくる有名なオランダの東インド会社です。

現在での株式会社

現在の株式会社も、根本的な考え方は同じです。
一人のお金ではできないけど、みんなでお金を出し合って事業をはじめる。
そして、その事業で得た収入を出資した人(株主)に分配する。

という考えです。
ですから、株主というのはただ単にお金を出した人というだけでなく、そのお金で事業をすることができるので、その出資した割合分の会社の所有者ということにもなります。
たとえば、100株の株を発行している会社の株を1株持っていたとすると、その人は、その会社を100分の1ほど持っていることになります。
ですので、株式会社というのは、社長のものでも社員のものでもましてや国のものではなく、株主のものなのです

その他のお金の集め方

会社が、株以外でお金を集める方法は2つあります。

ひとつが銀行から借りる。
特に説明の必要がありませんね。銀行から融資してもらい、期限までに利子をつけてそのお金を返す仕組みです。

もうひとつが社債を発行すること。
期限までに利子をつけてお金を返すのは銀行から借りるのと変わりませんが、その借りる側が銀行ではなく、大勢の出資者になります。一人一人の出資額は少ないけど、その分大勢の人から借りようとする方法です。社債についてはまた今度詳しく説明しましょう。

ほかにも2つも方法があるなら、別に株なんて発行しなくてもいいじゃないかと思う人もいるでしょうが、この二つの方法の大きな違いは、借りたものは返さなくてはならない
ということです。
…当たり前のように聞こえますが、これが結構大変なのです。

すぐに収入の出る事業ならいいのですが、これが借りる期限より長い時間がたたないと結果が出ない事業だったら…。借りたお金分稼ぐ前に貸付期日がきてしまうので、当然返せるはずがない。となると、会社の機械やら工場やら土地やらを、借りたお金分銀行に取り上げられてしまいます。そうなると事業を終りにするしかありませんよね。

ところが株を発行する場合だと、その貸主(株主)は、会社の一部分を所有していることになるから、その所有している間は、出資してもらった分を返さなくてもいいのです。結構おいしい方法です。

まぁ、株式を発行するというのは、その分だけさまざまな問題をクリアしなければなりませんけどね。

参考文献
・経済のことが面白いほどわかる本 株と投資入門編 岩本秀雄 中経出版