経済学科 証券投資コース

公開: 最終更新:2005/1/1

株主になって得することは?

前の講義で、株主というのは会社の所有者だということを言いました。
と、いうことは株主になるとなんかいいことがあるのでしょうか?そのことについて講義します。

株主の権利

株主は会社にとって所有者になります。
ということで、ただ単にお金を出した人というだけでなく、その会社の経営に口を出すことができます。でも、いくら所有者だといっても、一部分の所有者なので何をしてもいいというわけではありませんけどね。このことを株主権といいます。
この株主権の代表的なものは、
・配当を受け取る権利
・株主総会に出席する権利
・会社が解散したときに、残った財産をもらう権利
・株式分割を受ける権利

の4つがあります。
この講義ではひとつづつ説明していくとしましょう。

配当を受け取る権利

株の説明するときに、利益が出た分を配当してもらえるといいましたが、これもちゃんと株主権にあります。ということで、株主は、会社に対して「利益が出たら配当しろ」と言えるわけです。
ちなみにこの配当についても決定するのが、次に説明する株主総会です。
まぁ、配当がない場合もあるけど、この説明はまたの機会ということで。

株主総会に出席する権利

学校の生徒会行事の中に生徒総会というのがあったと思います。その年の生徒会の方針を決める会議なのですが……最近あんまり重要視されいないと感じるのは僕だけなのでしょうかねぇ…。

というのは余談で、株式会社には株主総会というものがあります。
ただ単にその年の経営状態を報告するだけなんてものではありません。株主総会は株式会社にとって最高意思決定機関です。どういうことかというと、株式会社にとって重要な事はこの株主総会で話し合って決めなければならないのです

ちなみに、毎年決算後に行うのが定時株主総会といい、主に行われることは・・・
・会社の決算を承認する
・基本的な経営方針を決める
・経営を任せる取締役を選ぶ
・配当金を決める

などです。
臨時株主総会は、特に必要だというときに必要に行われるものです。

単元株(普通に売買される最小単位。詳しくは別の機会に)を持っている株主は、誰でも参加できます。

基本的に株主総会は出席者の過半数の賛成投票によって議案が決議され、特に重要な議案については3分の2の賛成投票が必要となります。

ちなみに、投票は一人1票ではなく、一株1票。つまり、賛成した人数ではなく、賛成した株数にて議案が決議されます「1株=1議決権」というわけです。

というわけで、1,000株持っている人が10人集まって賛成したとしても、20,000株持っている人が反対すれば、その議案は否決されてしまいます。さらに、多数決なので、その会社の発行している株の51%を所有していれば…。株主総会は自分の思っている通りになるでしょうね。

会社が解散したときに残った財産をもらう権利

株主はその会社の所有者なので、株主総会で「もうこの会社やめようよ」というのが可決されれば、当然会社を解散させることができます。…従業員はたまったもんじゃないだろうけどね。
その際清算手続きといって、会社の持っている財産(お金だけでなく土地や建物や機械などなど)を整理(売却など)して、それを持っている株の分だけもらえるのがこの権利。

倒産をして会社を解散したときもこの権利はあるけど、
この場合は、借金などの返済が最優先になるから、その借金を払った残り…というよりも、多くの場合は借金しか残らないけどね。

んじゃあ、借金が残ってしまったらその借金も株主が払わなくてはならないのか…なんて疑問が生じるけど、それはないので安心してください。

株式分割を受ける権利

まず、株式分割というのは、今発行している株を、1枚から2枚にしたり、2枚から3枚にしたりして、株を細かく分けること。たとえば、1000円の株100枚を、株式分割によって1枚から2枚にして500円の株200枚にしてしまおうとこういうことです。
実際には、100枚持っている株主にもう100枚を無料であげるということになるのだけど、その値段は分割によって半分になっているから、結局お徳でも損でもなんでもない。でも、株の枚数が増えているからちょっとお徳感があるくらいかな?
じゃあ何のために株式分割をするのかは、ほかの講義で説明しましょう。

株主権以外の特権

以上の権利は、株主に対する最低限の権利です。
じゃあ、株主はそれだけなのかというと、会社によってほかにも特権をくれているところもあります。
その代表例が、株主優待です。
株主優待というのは、株主に対して「わが社に出資していただいてありがとうございます」という、どちらかというと感謝の気持ちで送られるいわばプレゼントです。
会社によって千差万別ですが、多くの会社はその会社の自社製品を株主優待にしています。
たとえば、あの食料品で有名なカゴメは、株主に対して自社製品の詰め合わせを株主優待にしていますし、ディズニーランドのオリエンタルランドは、入場パスポートを株主優待にしています。詳しくは、各株式会社のホームページか、株主優待の乗っている情報誌を見てください。
かなりうれしいものなのですが、株主優待はあくまでプレゼントであり義務ではないので、株式会社に対して「何でこの会社は株主優待をしていないんだ!」なんて言ってもしょうがないし、株主優待がなくなったとして文句は言えないのであしからず。
ちなみに、この株主優待制度は日本独自のものみたいですね。やはり日本人は、お歳暮やお中元のように、プレゼントが好きな民族のようです。

参考文献
・経済のことが面白いほどわかる本 株と投資入門編 岩本秀雄 中経出版)