無線学科 必修講義

公開: 最終更新:2005/1/1

盗聴と傍受の違い

ストーカー事件などが多発し出した今日この頃。同時に盗聴被害なども浮き彫りになってきました。
盗聴と聴くと、明らかに犯罪という臭いを出していますが、その盗聴とはどのような行為を言うのかを正確に知っている人は少ないと思います。
ここでは、無線学科の講義を受講する前に、そのような偏見を取り除いてもらうためにぜひ知ってほしいことを講義しています。

違法?合法?

よく、自分の趣味は無線傍受だというと、「それって犯罪でしょ」って答えが返ってきます。 たしかに、最近は盗聴器やストーカーなんかで、
無線を傍受→他人の会話を聞く→悪いこと→犯罪てな構図ができてしまっています。ほんと、無線マニアの僕たちにとって住みにくい世の中になってしまいました。

しかし、実際に僕がレシーバー(受信機)を使って空港でエアバンドを聞いていようが、駅で鉄道無線を聞いていようが、絶対に警察に捕まるって事はありません。なぜなら僕が行っている行為は傍受という合法範囲だからです。

盗聴というものは、かなり広い範囲の意味を持っているため、誤解を招くことが多いのですが、俗に言う「盗聴」というのは、他人の会話を盗み聴きするという行為のことを言っています。
たしかに、人の会話を盗み聴きするのは道徳的にもよくない行為ですし、最悪の場合はプライバシー権などの問題により処罰されます。

ではなぜ僕は警察につかまるわけがないのでしょうか?

それに答えるには、無線の特性について説明しなければなりません。

電波は届くよどこまでも

無線通信で使われている主な通信方式は電磁波(俗に言う電波)を使った通信です。
んで、この無線通信の特徴は、有線(電線)を使う必要がなく長距離でも通信でき
不特定多数のものと通信することがきる
ということです。ラジオが一番わかりやすい例ですね。どこに持っていっても受信でき、誰でも受信できる。
でも、裏を返せば、誰が受信してもしょうがない。とも言えるのがお分かりでしょうか?

無線通信を普通の会話として考えてください。
近くの人と話をする場合はそこまで問題にはならないでしょうが、遠く離れた人と会話をしようとすると、大きな声を出さなくてはならなくなります。そして、大きな声を出すということは
ほかの人にも聞えてしまうようにもなります
つまり、無線通信を行うということは、ほかの人にもその通信が知られてしまうという危険性を伴ってしまうということです。こればかりはどうしようもありません。ぶっちゃけていうと、
聞えるものはしょうがない。
聞える可能性のあるもので通信を行うほうが悪い。

です。

ちなみに、この受信してしまった通信を聞いてしまったという行為を傍受といいます。

まぁ、僕ら無線マニアの場合は、たまたまではなく、ある意味故意的な部分もありますがね。

それじゃあ、盗聴とはどういうこと?

ちょっと屁理屈地味たことを言ってみましたが、法律上ではどうなってるんでしょうか?

日本国内で電波通信を取り締まっているのは電波法というものです。
その電波法規内このような条文があります。

第59条(秘密の保護)
何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第4条第1項又は第90条第2項の通信たるものを除く。第109条において同じ。)を傍受して、その存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。


どういうこっちゃということになっちゃいますが、要は
傍受した内容をほかの人に教えたり、その内容で自分の利益になるようなことをしてはいけないと言うことです。

ちなみにこれを盗聴といってます。

具体例をあげると、
アイドルのコンサート会場にて、ワイヤレスマイクの電波を受信してその音声を録音し、そのテープを売りさばいた場合とかですかね。売りさばかなくても、ほかの人に譲り渡したりしたらこれも盗聴です。ここのところ、音楽CDのコピーと似ているところがありますね。

まぁ、簡単にまとめると、
傍受の範囲を超えなければ盗聴にはならない
ということになります。

ちなみに、盗聴による罰則は、
1年以下の懲役または20万円以下の罰金ということになっています。

合法とはいっても・・・

ここまでいろいろ傍受と盗聴の違いについて講義しましたが、
実際問題、日本の現法律では、傍受と盗聴の境界線ははっきりしていません
著作権法での盗作の境界線がはっきりしていないのと同様ですね。
たぶん、この二つの境界線は、いつまでたってもあやふやのような気もしますが・・・。

しかし、いくら電波上で合法といっても、ほかの法律に引っかかる可能性もあることを忘れないでください。
たとえば、人の家のコードレス電話の電波を傍受したとします。電波法上は違法ではないですが、プライバシー権の侵害や、ストーカー法に引っかかる可能性があります。

また、法律に引っかからなくても、航空テロの起きた日に空港で航空無線を傍受していたら。まったく違法でないにしても、職務質問ぐらいは覚悟していたほうがいいのではないでしょうか?
(実際に、アメリカでテロが起きたときに空港で傍受していたら、警備員の人ににらまれました)

いくら法律に違反していなくても、道徳的倫理的にみとめられていないものは多々あります。
この逸脱行為が蔓延してしまうと、法律がまた新たに作られ、しいては無線ライフの幅も狭くjなってしまいます。(実際的に制限されたのは警察無線でしょうか?)

ここで傍受や盗聴の講義を行ってきましたが、それが違法か合法かではなく、一人一人が社会的な自覚を持って趣味を楽しむのが一番だと思います。

参考文献