応用雑学科 K-HSU LABO NET 共同研究コース

公開:2004/9/6 最終更新:2004/3/31

「エネルギーについての考察」に対するレポート

 先日、BS研究所のほうから、新しいレポートが発表されました。
実に実用的なレポートなのですが、それだけでは物足りないと思い、当大学の応用雑学部は、 BS研究所のレポートを元にして次のような論文を発表したいと思います。

・補足1
この論文は、広島勇者研究機関株式サークルBS研究所 において発表された「資料研究No.5エネルギーについての考察」を元にして作成されています。 したがって、この論文を読むにあたっては、まずそちらをご覧ください。

・補足2
同じ議題をテーマとして、怪鳥科学研究所 において「 マイトガインのエネルギー確保について」が発表されていますので、合わせてご覧ください。



契約アンペア10Aの現状

BS研究所のレポートを読んでいる最中、ふと気になるところが出てきました。それは、考察3において提示されている条件。その中にこのようにあります。
・契約アンペアは10Aとする
ちなみに東島学園大学九州キャンパス(現在住んでいる場所)の契約アンペアは20A。約半分であり、しかも10Aというのは九州電力の契約アンペアの中でも一番低い値になります
節約しているとはいえ少々けち臭いような……。

おまけに、10Aというのは少々生活にも不自由が生じる場合もあります。
家庭内で一番電力を食う家電製品の代表といえば、電子レンジ。当大学で使用している電子レンジの定格電力を見てみると960W。オームの法則より逆算すると、フル稼働時で約9.6アンペアも使用していることになります。そうすると残り0.4アンペア。理想値で40Wの電球しか使用できません。もしそれ以上の電気を使用すると……。パチンっとブレーカーが落ちてしまいます。
エアコンでも同等の結果になると思います。
夏はともかく冬は大変そう……。

しかし、そんなほかの研究機関の電力事情を哀れに思う前に重要な事に気づいてしまいました。

勇者をするのは時間がかかる

日本の商用電気の電圧は100Vです。中には電化住宅なんかの事情により200Vの人もいるかもしれませんが、今回はそれを抜きにします。そして今回使用する契約アンペアは10Aです。
ちなみに今回BS研究所のレポートに使用されたのは、kW(キロワット)で電力をあらわしています。
この電力は、オームの法則で、
電力=電圧×電流
という式で導き出されます。
ということで、契約電流10アンペアで得ることのできる1時間あたりの電力は、
100v×10A=1000w
単位を変換して
1kw
ということになります。
これを1日あたりに変換すると、
1kw×24時間=24kw
になります。
つまり、契約アンペア10Aでは、
どうあがいても1日24kwしか電力を供給できないんです

ちなみに、マイトガインの消費電力量は1459967.5kw
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県)の1号機・2号機の出力が各559000kwだから、二つを足してもまだ足りないぐらいの超巨大消費量。
もしや、石油が枯渇したのは、これが原因じゃないのか?
まぁ、いかにしろBS研究所長崎支局だけの契約ではとてもじゃないが供給できるわけがない。
稼動させようとスイッチを入れたとたんパチンっとブレーカーが落ちてしまう。

できないものはしょうがないので、充電効率も放電効率も100%で、あらゆる漏電も起きないという、とてつもない高効率の充電器を使用し、稼動する電力をちみちみと充電するシステムを導入したとしましょう。これならいくら契約アンペアが低くても大丈夫なハズ。

しかし、いくら充電できるとは言え、1日に充電できる量と、充電しなければならない量との桁が違いすぎる。実際に計算してみると…。
消費電力量÷1日あたりの充電量=充電にかかる日数
1459967.5kw÷24kw=約60832日=166年242日
つまり、充電のために冷蔵庫はおろか豆電球さえ使えないような状態を166年242日充電に費やした結果。ようやく稼動することができるようになります。なんだか琵琶湖に水道の蛇口をひねって満タンにするような途方もない時間。当然、今から充電を開始したとしても、作品の舞台となっている2050年時点でも3分の1も充電できていないと言う事態に陥ってしまいます。

勇者をするには支持もいる

いくらなんでも、一度出撃するために166年も待っていては、勇者ではないことは明らかです。しかも、BS研究所の中にもこのように記述がありました。
週一回の出動として
そうです。ほとんどの作品の場合、週1回の放送。つまり、166年をどうにか1週間。しかも、ちょうど1週間ではだめなので、余裕を持って6日。この短い間に充電を完了しなければならないのです
当然、とうあがいてもBS研究所九州支部だけで充電できる量は1日24kw。つまり6日で144kwしか充電できません。しかなないので、地域住民の皆さんに協力してもらいましょう。
大丈夫、しっかり地域住民の人と仲良くしていて、夜な夜なバズーカーの音がうるさいという苦情もないのなら、快く快諾してくれるはずです。

地域住民の皆さんもBS研究所と同じ、契約アンペア10Aだと仮定し(絶対違うと思いますが…)、充電できる日数を6日とします。つまり、
消費電力量÷(1日あたりの充電量×充電に協力する件数)=充電にかかる日数
ですので、この式を変換して、
消費電力量÷(1日あたりの充電量×充電にかかる日数)=充電に協力する件数
で、計算すると…
1459967.5kw÷(24kw×6日)=10139件

つまり、6日間で充電しようとすると、BS研究所とその周辺住民10138世帯が、6日間ぶっ通しでほかの電気機器が使えない充電状態にならないとならないわけなんです。これにはさすがの温厚な周辺住民の皆様もプッツンくるだろうなぁ…。

このままではBS研究所の存亡どころか、長崎の治安問題にも発展しかねるので、充電する時間を夜間帯の深夜0時〜4時だけ、そして冷蔵庫などの常時電気を供給しなければならないものもあるので、契約アンペアの半分だけにして計算しなおしてみましょう。これなら普段使わない夜間電力を使うので、電力会社にとってもやさしいこと請け合いですね。
計算式は先ほどより少々ややこしくなって
消費電力量÷(充電する時間×充電に割く割合×1時間あたりの充電電力量×充電にかかる日数)=充電に協力する件数
1459967.5kw÷(4時間×0.5×1kw×6日)=121664件
ちなみに、長崎市の世帯数が約17万世帯なので、長崎市の約70%の世帯が協力しなければならなくなる計算です。これだけの支持が得られるのであれば、研究所なんか止めて、政治家になったほうがいいのではないでしょうか?

考察

とりあえず、勇者をしたければ100年ぐらい笑ってごまかせるくらいの寛大さか、ひとつの街の住民をすべてとりこにできるだけのカリスマ性。そして何より毎週宝くじを当てれるだけの強運を持ってなければならないみたいです。
なるほど、だからいくら街を破壊しても訴えられないし、いくらピンチでも最後には逆転できるのか。
勇者をするには天性の才能が要るようです。

参考文献
・九州電力ホームページ玄海原子力発電所リアルタイムデータ
・長崎市ホームページ